2021-11-28 【小説】夜を游ぐ 小説 受験勉強に倦み、予備校をサボって僕がいたのは、夜の雑踏だった。 人とぶつかりそうになりながら、当て所なく歩く。目的地も将来も。 そうしたら、月明かりの下で誰よりも上手に、人混みをかき分け歩く人の姿が目に入った。 ――それはまるで、夜を游いでいるかのようだった。 Story by 鈴倉佳代Photo by バジル氏 初出