【エッセイ】マジックアワー
まじっくあわー
仰々しい言葉
大きくなってから知ったよねって
妹と話している
田舎の夜明け
田舎の夕焼け
1秒も同じ色が無い空を見ること
あたりまえだった
夜明け
お弁当を作るために起き出す
母の白いエプロンを彩っていた
今朝どんなグラデーションだった
眠気と朝の冷たい床と
母の気分と
夕刻
祖母が手を振っている
田んぼの3つ向こうから
名前を呼んでいる
広いひろい夕景のなか
抜ける風と魚が跳ねる音と
祖母の笑顔と
あたりまえは変わっていく
全部を含めて
マジックアワー
空を指すだけの言葉じゃなかったんだね
……
妹が話している
「思い出した、高校で写真部の子に聞いて知ったんだわ」
Written by 藤淑花
Photo by TETSUYA YOKOO
校正・校閲:鈴倉佳代