2021-10-03 【小説】同胞へ 小説 『祈り』と題された写真を見た。 若い女性がひとり、植物を持って祈っている。 薄く開かれた目は、どこを見つめているのだろう。何に祈っているのか、何のために祈っているのか――。 図らずも、写真を見て嗚咽をもらした私に分かったことは、赤い唇と赤い植物がキスをしている、ということだけだった。 Story by 鈴倉佳代Photo by あじさい けーすけ 初出