【小説】同胞へ

 

 

 『祈り』と題された写真を見た。

 

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 若い女性がひとり、植物を持って祈っている。

 

 薄く開かれた目は、どこを見つめているのだろう。何に祈っているのか、何のために祈っているのか――。

 

 図らずも、写真を見て嗚咽をもらした私に分かったことは、赤い唇と赤い植物がキスをしている、ということだけだった。

 


Story by 鈴倉佳代
Photo by あじさい けーすけ

初出